数千人の吃音先達からの贈り物
 .CSLJ V12.1(2024/04/05)

ボランティア 「吃音.COM Junior」 サイト
日本吃音研究所

#吃音
     . 

●20数年つづく伝統あるレジェンドサイト「吃音.com」の簡易版です.
●吃音に関する世界にまれな,吃音者数千人の貴重な体験をもとにした超良質お宝サイトです.すべて事実に基づいた科学的サイトです.
幼児,子供,大人の吃音情報がいっぱいです.
●「未来有望な若者がこんなことに悩んで多大のエネルギーを消費していていいのだろうか」という思いで開いているサイトです.
●商業的意図のない完全なボランティアベース,アフィリエートも無関係です.安心してご利用ください.
●言葉を出すことに大きなエネルギーを使っている皆様,そのエネルギーの多くを,   
「吃音の本質理解と,吃音を引き起こす心のトラウマをなくす方向に使い,自分の中に潜んでいる才能を開花させてください」
これが吃音を根本から治す唯一の方法です. 吃音は治る病気ですがポイントを外すと治りません.




より詳しい吃音に関する疑問,治し方など参考にできることは20数年続く「吃音.com」(上記の目次より行けます)にあります.多数の幼児の完治例大人の完治例,70歳近くなった山桜さんの 完治体験談,その他膨大な吃音体験談を読まれると,吃音に関するほとんどの疑問が解消すると同時にこの意味を完全に納得されるはずです.
科学的であることに徹底した内容ですが,非常に膨大な量ですので必要な分だけお読みください.全体像をわかりやすくするために,ここにその神髄だけを載せておきます.




●「吃音を治してから..しよう」,「吃音さえなければ..できるのに」,「吃って失敗した」と考えていては吃音は治りません.治りませんから一生何もできず苦しみ続けるだけです.これらは結果的に「いつまでも吃音者でいたい努力」になってしまっています.
●ちょっと(かなり?)勇気や無理が必要ですが,吃音を持ちながらも,「好きなこと」,「やりたいこと」,「やるべききこと」,「ワクワクすること」,「やりがいを感ずること」,「達成感を感じられること」,「楽しいこと」を前向き姿勢でやってください.そうすると吃音も治っていきます.吃音を治す一番楽な方法です.
「恐怖の場所に飛び込め」と言っているきらいがありますが,その理由は,「(単純化すれば)こういうことを幼児期にできなかったから吃音を発症している」可能性が高いからです.詳しいことは本文にあります.





本章(Home)は順番に読んでいってもすべてに到達できますが,必要なところに到達しやすいように副目次(上部の薄青色ボックス)を設けました.

1.吃音概要


吃音を単純化してまとめると


  1. 吃音は言葉の症状としてあらわれるが言葉の病気ではなく深層にある心の病気である.
  2. 主に幼児期に,持って生まれた心の資質と親子関係などから心にトラウマが宿ると吃音を発症する.
  3. トラウマさえなくせれば,年齢,性別に関係なく確実に治る病気.
  4. 幼児期は生活環境が単純で,トラウマも小さいので対応さえ間違えなければ早期に治ることが多い.それ故もはや吃音を発症したからと言って嘆き悲しむ病気ではない.
  5. 大人になるとトラウマやしがらみが増え,また生きている環境が複雑になるので治しにくくなるが,治る病気であることは変わりない.
  6. 幼児期の子供と親に関係する心の問題が色濃く関係するので,大人になると原因に気がつきにくいし取り扱いが難しいことも確か.
  7. 症状が言葉の問題としてでるので,「言葉の病気」といったような間違った取り扱いをしがち



ということです.
 1,2.には生まれついた「潜在的怖がり」,「傷つきやすい心資質」,「繊細」,「心臓ドキドキ」,「恥ずかしがり」,「人見知り」などの性格(発達障害的傾向がある場合もある)と,育児の世代連鎖が関係しています.この時期は「心の妊娠期」ともいえる心の成長にとって超大切な時期です.実際の妊娠期と同じように,子育てには心の取り扱いに細心の注意が必要です.心と理性の脳が急激に成長する時です.バランスが大切です.時期的に母親と子供の心を含んだ母子関係が関係してますので,結構複雑な微妙な問題となります.

吃音のほどんどは幼児期に発症しますが,幼児期に原因を抱えて,プラスアルファで思春期を中心に発症する人もいます.

3.は間違いないのですが,「トラウマさえなくせれば」が難問です.心の問題で難しいので,対策が難しく治らない人がいてもおかしくありません.

4.に関しては「吃音は治らない病気」と言われることが多かったのですが,発症まじかなので吃音の本質を理解して対応さえ間違えなければ,ほとんどが週単位で治ることも多いです.

5.の大人の完治例は,本研究所で把握しているのは3年くらいが数例,70歳手前が一例(約70年),そのほか期間を確定できない数えきれないほどの例があります.体験談として載せてありますのでご自身で確かめてください.この年数はどのようにしてトラウマがついたか,どのようにトラウマに対処していったか,どういうチャンスに恵まれたかなどに大きく関係しています.大人のトラウマとりは自分の心の基を変えるような作業になるので,なかなか大変なのは確かです.

7.は長い間信じられてきたので,都市伝説,フェーク情報がいっぱいあふれています.また,信じられないような処置方法も大手をふって闊歩しています.だから正しい情報を得るのに一苦労します.そういときに吃音先輩たちの体験談が大きな助けになるはずです.体験談ですので実際にあったことですから.



2.吃音研究にご協力を


システマティックに吃音を治す方法を模索中です


吃音で苦しんでいる方,(こんなことを言っては語弊があるかもしれませんが),吃音を体験しそれを実体験で治して,吃音の本質を解明できるのはあなたしかいません.不幸で苦しいことでもありますが,吃音で苦しんでいる人を助けることができる大きな資格?,権利?を持っています.そういう意味で吃音を解明するのに非常に重要な位置にいます.上記の体験談や山桜さんの例はその典型です.ここで吃音の本質を理解してぜひ治してください.吃音トラウマさえ取れれば治りますから.(トラウマ取りは難しいのですが)

子供の完治例はいっぱい集まっていますが,吃音の性質上大人の完治例が少ないのが現状です.というか,子供の吃音には当研究所が直接かかわっていることが多いので,詳細がわかっている場合が多いのですが,大人の吃音完治は本人の工夫や偶然によって治っている場合も多く,また周辺環境が複雑なこともあり,詳細な情報にかけるきらいがあります.



本研究所では吃音の本質や治し方原理,疑問点など,ほとんどの課題を解決しましたが,ただ一つ「体系的,システマティックに吃音を治す方法」が未完成です.幼い時の心の問題を含むので難しいのですが,本サイトでヒントを得てぜひご自分の吃音を治しその情報をお知らせください.皆様のご協力を希求しています.

一方,このサイトに違和感をもったり満足できない人は,即本サイトから離れてご自身の信ずる方法で治してください.そしてその結果をぜひ真っ先にお知らせください.
本サイトとは別の方法で,好結果を出される方の出現をのどから手がでるほど待ち望んでいます.吃音者から直接に好情報をどん欲に集め,吃音者が楽になる方法を確立するのが,本研究所の基本方針ですから.



3.吃音と言う病気


吃音は周囲の人に大きく関係する病気


吃音とは基本的に,「人間がいる場所で一人で言葉を話すとき,瞬間的にいやな気持ちが湧き上がってきて(意識できない時も多い),言葉が出せなくなる」病気です.出せない言葉は,周囲の人が誰か?,その人の雰囲気に何を感じるか?,どんな言葉か?どういう状態か?,どのような環境か?によって左右されます.周囲に人がいなければ,原則,すべての言葉がスムーズにでます.すなわち吃りません.吃音は言葉の病気ではなく,周囲の人に関係する病気,すなわち無意識の心が周囲の人をどう感じるかに関係する「心の病気」なのです.
この心は,ほとんど場合,乳幼児期に出来上がってしまいます.当然それにはその人の持って生まれた心の資質も大いに関係しています.この心の病気の元になっているものを吃音トラウマ(言葉の問題を創出する心の傷)とよび,これが人前で言葉を出そうとするとき「嫌な気持ち」を湧き上げます.「ここで言葉を出すと嫌な目に合う」といったような,幼児期についた本能に近い危険信号です.この「嫌な気持ち」を自覚できない場合も多いので厄介です.吃音は言葉の急成長期の2歳を中心に発症します.

このようなトラウマは不登園,思春期になると「不純異性交遊」や「家庭内暴力」,「不良行為」,「引きこもり」など,その他もろもろの問題を起こすことが多いのですが,これらは意識できない「心の穴」を埋める行動と考えられています.ここは吃音サイトなので吃音だけに特化します.



このトラウマは,持って生まれた心の資質,成育環境によるストレス,成長段階(年齢),ストレス期間のそれぞれの微妙なバランスによって出来上がります.これを感覚的に式で表すと

  [(持って生まれた心の資質 + 成育環境によるストレス)*ストレス期間]/年齢

のようになるでしょうか.年齢が分母に入っているのは,成長するにしたがって心も成長するのでストレスに強くなることを表しています.逆に言うと,生まれて数歳までが人間の内面成長に非常に大切であることを表しています.
この時期は幼児健忘期と言われている時期で,体の中にバッチリと覚えこまれていますが思い出すことはできません.それだけに超大切な時期ようです.その典型例が母語の習得です.
当然ですが,人によってこのバランスが違うので,吃音者はそれぞれ異なった状況によって吃音を発症していると言えます.



4.吃音になる過程


内面の発達段階にあわない育児環境が影響


    吃音は主に2歳前半を中心とした時期に,”吃音になりやすい心の体質(潜在的な怖がり,繊細,生真面目,利口)をもって生まれた人が,周囲の人間(ほどんどは親,時期的に母親が多い.親の親子関係,夫婦仲など)により出来上がる「不適切な心の育児環境」からくるストレスの中で過ごすと,それがトラウマ(心の傷)となり発症”します.ストレスや「不適切な心の育児環境」はあくまでも幼児の目線で見たものです.

    吃音は,図に示すように,心体質と育児環境の微妙な大小関係によって発症していると考えられます.Aが心の体質が支配的で吃音を発症した人,Bが育児環境が支配的で吃音を発症している人を模式的に表しています.



    ただ,この図も見る人の目線でかわってきます.たとえば,親の目線や大人の常識目線ではAで,心の体質の影響が大きくて吃音を発症しているように見えても,繊細な子供目線ではBのように,育児環境の要素が大きくて発症しているかもしれないのです.子供が繊細で怖がりなどに生れついていればいるほど普通の環境を厳しい環境と感じるので,大人と子供がみる発症要因の乖離が大きくなります.当然逆の場合もあります.周囲の目線では厳しい育児環境に見えても,本人はほとんどダメージを受けない場合です.心の問題はいろいろ微妙です.



    吃音者の全員が左端の状態,すなわち,生まれつきの心の体質で発症しているのなら,「吃音は遺伝」と簡単に言えるのですが,これまでの例では,真ん中を中心に分布しているように思えます.だから「吃音は遺伝」というにはあまりにも極論すぎます.むしろ,「吃音は遺伝ではない」と言った方が現実にあっているようです.吃音が遺伝だったら治らないでしょうけど治っている人がいっぱいいますから.また,生まれつき吃音の子供をまだ見たこともありませんし,逆に,吃音になるような子供は言葉の発達が早く,機関銃のようにしゃべっている子供が多いようですから.この図の左によればよるほど発達障害的な要素も入ってきている傾向もあります.

    残念ながら,それぞれがどの位置で吃音を発症しているかを見る尺度を,当研究所ではまだ開発できていません.それゆえ,正確な人数分布も把握できていません.



    5.心の不適切な育児環境


    心の発達を阻害するような養育


  1. マルトリートメント(Maltreatment):(心の)発達を阻害するような不適切な養育のことをいいます.親の目線からは子供のための愛情いっぱいの環境,子供の目線では厳しい環境になります.「優しい虐待」と呼ばれることもありますが,あまりにも厳しい響きをもっていますので,「優しい不適切養育」と呼んだ方が良いのかもしれません.幼児期に,自分が認められていないなどのストレスを感じ,自分を抑え込まざるを得なくなると「このままでは心がもたない」,「言葉を出すと危険」,「内面の成長が正常にできない」という「心のSOS」をだします.これが吃音です.

    マルトリートメントは次のような状況で生まれますが,特に取り立てるほどのものではなく,育児にはありがちなことがほとんどです.ただその子供の性格と成長段階を考慮すると,マルトリートメントになる可能性があることが多いです.だから親が自覚しにくいのが特徴です.ここには親がその親から受けた育児が関係しているので,ますます自覚しにくい状況があります.



    • 子供の言葉の話し始めが早くしっかりした物言いをする(吃音になる子供に多い特徴)と、他の内面も十分成長していると勘違いしがち
    • お母さんから生まれお母さんのオッパイを飲んで育った子供を,一人の独立した人間として見るのは難しく,お母さんの分身のような子供イメージで取り扱いがちがち
    • 親が繊細で優しい心の持ち主だと,心配で不安でついつい子供に過干渉しがち
    • 魔の2歳児と言われるハチャメチャ期には特にイライラして叱りがち
    • 特に優しい親の場合は,ハチャメチャ期にはイライラして普通の心持ではいられなくなりがち
    • 親(お母さんの場合が多い)が常識として持っている理想の子供像(机上の子供像)の鋳型に,実際の子供をはめがち.しかもそれを子供のためと思っている.
    • お母さんには理想のお母さん像があり,それを実現するために子供に無理を言いがち
    • 完璧主義的だと,子供を親の子供鋳型にパーフェクトにはめたがる
    • 親の性格や置かれている状況から,子供のペースではなく自分のペースで育てがち
    • 「しつけ」という頭があるので,親が子供をあるべき姿にはめ,それを我が子のためと思いがち
      などです.



  2. 虐待環境:「優しい虐待」で発症しますから,本格的な虐待でも当然のことながら吃音を発症します.
  3. 準虐待環境:「優しい虐待」より厳しいけど「虐待」にいたらない中間状態の環境のことです.当然,この環境でも吃音を発症します.「吃らずに話せ!」,「あなたなぞ産まなければよかった!」などは心に傷をつける決定打です.
  4. 良い親,良い子環境: 親は子供が立派に成長してほしいので愛情たっぷりで育てます.それが子供の内面発達段階にあってないと,「やりたいことをするとお母さんお父さんが不機嫌になり嫌がる」,「お母さんお父さんが不機嫌だと不快を感じる」ので,「良い子になってお母さんに喜んでもらいたい」,「お母さんの期待にそいたい」と努力します.しかし良い子になれることはありません.原因が子供の発達段階を見誤っているからです.これが不適切な心の育児環境を作ってしまいます.
  5. 「魔の2歳児」環境: この時期は第一反抗期の「魔の2歳児」,「イヤイヤ期」,「ハチャメチャ期」とも言われる育児困難期です.しつけなど親と子供のバトルが始まるなど,不適切な心の成育環境になりがちです.お母さんが本来持っている子供像と現実の子供との大きな違い.お母さんが持っている理想のお母さん像では対処できず,現実との大きな乖離に悩むところです.

    不適切な心の成育環境で育つといくら頑張っても良い子になれないので,「自分は悪い子で劣った子だ」,「自分はダメ人間だ」のような自己否定感や劣等感,自己肯定感の低さ等が巣くってしまいます.「お母さんの期待にそいたい」という心も宿ってしまいます.賢い良い子が陥る落とし穴です.


    また,「自分の居場所がない」,「自分が認められていない」などの環境で育つと,自分の心に自分の芯を作る代わりに,他人の芯がその代わりになりがちです.人に決めてもらうのは嫌,自分で決めたいけど自分で決めても不安,他人に承認してもらわないと安心できないと言ったような「他力本願」の心が成長してしまいます.また,「良い子願望」や心の穴も宿ってしまいます.敏感な思春期などに,どうしても埋めることができない心の寂しさなどはこれが原因のことが多いようです.

    話したりして自分を主張することにより周囲の人が不快になり,それで自分も不快になり恐怖を感じるようになるので,「人がいるところで話すことや人に話しかけることによっておこる恐怖」が幼児期にトラウマとして心に宿ってしまうのです.これが潜在的に「ここで言葉を出すと嫌な目に合う」と,言葉を出すことを阻止します.言葉の成長が盛んな2歳を中心に発症しますので,このことも影響しているのかもしれません.しかもこの時期は幼児健忘期,吃音の原因になることを何も覚えていないのが特徴です.

    単純化して凄い極端な言い方をすると,「吃音は幼児期の"強,中,弱の優しい虐待”や,"虐待"によって発症する」ということです.両”虐待”は上記に述べた子供側から見た不適切な心の成育環境のことです.
    "虐待"は意識に残りますがマルトリートメントのような"強,中,弱の優しい虐待”は認識しにくいという特徴があります.こういう状態で吃音が発症するから「毒になる親」(最後の方で記述)の原因と通底するところが結構あるようです.






    6.吃音は治せます!!


    原理は単純,トラウマを取りのぞくだけ


    吃音になりやすい資質は今のところ根本的に変える方法はありませんが,このトラウマを取り除くことはできます.多くの吃音完治者によってつぎのことは明らかです.

    吃音トラウマを取り除くことによって吃音は間違いなく治ります

    原理は単純なのですが,吃音トラウマはなかなかタフで幼児期の心の問題を含んでいるので,取りのぞくのがなかなか難しく,とるのに多大のエネルギーと勇気が必要です.世間的に吃音の本質理解を誤っている傾向もあって,一生取りのぞけない人も少なくありません.吃音トラウマを取りのぞくということは,幼児期に巣くってしまった「潜在的な,人前で自分を主張する恐怖」,(「潜在的な人間恐怖」と言ってもいいかもしれません),を取りのぞくことでもあります.



    そのためには,たのしくてワクワクするような心が充実感を感じるような時間を少しでもたくさん作ることなのですが,吃音と言う病気の性質上,「いつまでも吃音でいたい努力」としか思えないような態度を取りがちです.「吃った.人は変な奴と思っているに違いない」,「吃りがある.自分の将来は真っ暗だ」,「俺はダメ人間だ」,....といったように自分をいじめることがそれです.治る病気も治さない努力をしていては治らないのは当然です.

    親サイトの「吃音ドットコム」では,この吃音トラウマのことを「キッシーちゃん」と呼んできましたので,ここでも便宜上,吃音トラウマを取りのぞく治し方を「キッシーケア(KC)」と呼ぶことにします.

    キッシーケア(KC)の問題点は,この治し方が,言葉の障害として出る吃音を治す方法とはどうしても考えにくい,ということにあります.長い間その原因がわからなかった吃音には,「都市伝説」が蔓延しています.その中では特にキッシーケア(KC)を吃音を治す方法とは思えない傾向があります.もう一つの問題点は,具体性に欠けている感があります.呼吸法や発声練習だと具体的でいかにも言葉の問題を解決しようとする方法に思えるのですが.
    吃音は心の問題と思えれば少しは納得できるはずです.「吃音ドットコム」の
    「幼児吃音完治例」を参考にしてください.数えきれないほどの人が治っていますから,心の中にストンと落ちるはずです.



    キッシーケアによる吃音トラウマの取りのぞき方は,

    7.幼児吃音の治し方


    周囲環境が単純で比較的容易


    1. 吃音と言う病気の本質理解(UTS: Understanding the truth of stuttering)
      吃音には「発症したら治らない」といったような都市伝説がいっぱいあります.専門機関や公の機関でさえ都市伝説があふれています.だから親がしっかりしないと幼児の吃音は治せません.
      吃音には親が大きく関係していますし,治す主役も親です.だから親が吃音の本質を理解することがことのほか大切です.吃音は言葉の症状として出るので,どうしても言葉の病気と思ってしまいがちです.そうではなく吃音は「心の病気」ということを親が理解し納得すべきです.そしてその病気がどのような状況で発症しているかも理解すべきです.それが理解できると,子供がいま心を病んでいることにより,言葉の症状が出ていることがわかるはずです.そういう理解があれば適格な対策がたてられるので,吃音を治す確率がぐっと増えます.100名を超える「幼児吃音完治例」を読んでみてください.納得されるはずです.

    2. 良育児環境法(GCEM:good childcare environment)
      幼児に接する人は主にお母さんお父さんです.だから,親が子供の内面の成長を理解し,子育て法を適切にして子供目線で見て,子供が安心して育っていく環境を作ることによって治ります.「人前で自己主張したり言葉を出しても嫌なことがおこらないこと」,逆に「快感であること」がわかるからです.このときお母さんが育児を楽しめることが大切です.「お母さんが自分のことで喜んでいてくれる,お母さんお父さんがうれしそう」,子供にとって至福の時間です.子供にとって至福の時間なら,お母さんお父さんにとっても至福の時間です.これまでの「ルーズルーズ」の関係が「ウインウイン」の関係になるのです.



    3. 自然消滅(ME:Natural Extinction)
      治し方ではないのですが,自然に吃音トラウマがなくなり治ってしまうこともあります.保育園や幼稚園に行くようになって新しい世界が開け,お母さんも子供と離れる時間ができて良育児環境が戻ってくる場合などです.これが吃音は「幼児にはよくあること,成長にともなって治る」と言われてきた原因です.

      幼児の場合は若くて発症からの時間が短いのでトラウマも小さく,早急に治る可能性,大,大,大,大...です.子育て法を適切にしたらその日から効き目がわかる場合もあるくらいです.
      この治し方を単純化すれば,「お母さんの,これまで持っていた理想の子供像,理想の母親像,理想の育児法を適正化する」ことということもできます.子供を治すのではなく親を治すことなのです.親が治れば当然子供は治っていきます.

      読み切れないほどの幼児の吃音完治体験談が,「吃音ドットコム」の「幼児の完治例」 などにあります.一部を本サイトの「吃音完治例」にも記載してあります.参考にしてそれぞれの家庭にあった方法でためしてください.



    8.大人吃音の治し方


    環境が複雑で難しさがいっぱい


      大人の場合も幼児の場合と基本は同じです.というよりも,もともと大人の治し方を適用したのが幼児のものですから当然です.「吃音ドットコム」の「成人の完治例」などを見てください.たくさんの大人が治っています.

      大人(幼児以外の場合)になれば周辺環境は複雑です.幼児の時に親がやったように,周囲の環境を変えて吃音トラウマを取り除くことは原則不可能です.周囲の環境は本人にはどうしようもない多くの他人からなる社会だからです.社会の中で吃音を治す.この難しいことをやらなければなりません.当然治す主役は自分自身にならざるを得ません.

      まず第一に必須のことがあります.それは,
    1. 吃音と言う病気の本質を知ることです(UTS: Understanding the truth of stuttering)
      吃音では時々言葉が出なくなるので,言葉を出すことに一生懸命になるあまり,吃音を言葉の病気と思ってしまい,努力してすべての言葉が出るようになれば治るはずだと思いがちです.それはそのとおりなのですが,努力してもすべての言葉が出るようになりませんので治りません.

      そうではなく吃音の本質,「吃音とは幼児期に出来上がった,自分では意識できない潜在的な心の病気」ということを理解し納得すべきです.納得できないとしても少なくとも知識として持っておくべきです.吃音には都市伝説がいっぱいありますから,真贋を見分けるにもこの知識は必須です.



    2. 発症環境離脱法(OEWM:Onset Envirenment Withdrawal)
      大人になっても吃音発症時の環境(主に家族関係,特に母子関係)が暗に強力に影響を与え続けていることが多いので,吃音発症環境から離れることに大きな効果があります.チャンスがあった時,家族から,場合によっては故郷から離れることです.流れ込み続けるまずい水をまず止めます.

    3. 良生活環境法(GLEM:Good Living Environment)
      大人の場合も良好な生活環境で過ごすことが基本ですが,周囲の人が作ってくれることは原則ありませんので,自分で作る他方法がありません.
      ストレスが少なくなるような考え方を身に着けるなど,ストレスが少なくなる条件を整えながら,吃音トラウマが小さくなるような心に対する良好な環境で,人に接しながら生きることによって治っていきます.「目が輝いている」,「心のどこかに火がともっている」,「イキイキしている」,「夢を持っている」,「夢に向かって邁進中」などです.周囲は変わらないので自分を変えて,汚い水を入るのを阻止してきれいな水を心に注ぎ込む方法です.



      他の人に褒められることもこれに入ります.幼児期,叱られることが多くほめられることが少なかったのでトラウマが宿ったのですから効果的です.これは自分でやるわけではないのである意味偶然のチャンスを待つという要素があります.つぎの役立法の他人バージョンです.
      「自分で自分を積極的にほめる」ことも大切です.吃音者はその病気のなりたちから自己肯定感が少ない傾向があります.自分を必要以上に貶めている場合がありますから.

    4. 役立法(BGM: Be Grateful Method):
      人の役に立つことをして人に喜ばれることも効果があります.周囲の人たちは自分を主張すると喜んでくれる人たち.吃音原因の一つ,「親に喜ばれなかった」トラウマを消せる可能性がありますし,「周囲の人は怖くない」という正しい認識も徐々に浸透していきます.自己の存在感も得られます.これもきれいな水を心に注ぎ込む方法です.

    5. 体験認知法(ERM:Exeperience Recognition)
      荒療法ですが,勇気をもって吃りながらも多くの人と接し,たくさんしゃべることによって治っていきます.「潜在的な,人前で自分を主張する恐怖」が体験的にそうでないことがわかり,心にしみこんでいくからです.「恐怖を持っている人」が「恐怖の中に飛び込んで」それが「恐怖でない」ことを体得することなので,最初は特に厳しく,荒療法に耐える心の体力が必要です.

    6. 脳トレ法(BTE:Brain training Efect)
      最近少しづつ研究が進んで明らかになりつつある方法です.ジョギングなどの運動が脳の偏桃体や前頭前野を発達させることがわかりつつあります.偏桃体は心に大きく関係する脳部位ですから,ジョギングなどの運動がストレス解消やトラウマ縮小に大きく関係する可能性は大です.楽しむことが大切なようです.上記の良生活環境法,役立法の運動バージョンと言ってよいでしょう.これに良質な睡眠と食事が加わればパーフェクトです.前頭前野の発達は認知能力などに関係しますから頭を良くします.健全な肉体に健全な心が宿る,良い頭も宿る,吃音を治す方法って良いことだらけです.それにしても吃音を治す方法はそうとは考えられないことが多いですね.



    7. 原因特定法(CDM:Cause Determination)
      吃音トラウマが具体的に何であるかを特定できれば,取り除く方法を模索できます.どこにどのようなきれいな水を入れればわかるからです.

    8. 自然消滅(ME:Natural Extinction)
      治し方ではないのですが,周囲の状況が変わり,自然に吃音トラウマがなくなり治ってしまうこともあります.

      治し方に言葉の訓練などが入ってないことにも注意を向けてください.言葉の病気ではないから当然なのですが.(「言葉が出にくくて困っているのになんとということを言う」と思われる人も多いと思います.このことについては後出の「出ない言葉を出す方法」を参考にしてください)



      なおこれと矛盾する言葉の訓練などに関連しているような,トラウマの取りのぞき方を最後に上げておきます.

    9. 良い副作用法(GSE:Good Side Efect)
      言い換えや発声練習,呼吸法,言葉の教室,詩吟,コーラス,浪曲などで声を出したり,人にあったりすることにより心に栄養を与える良い副作用で,吃音を治す方法です.良い副作用は上記,良生活環境法,役立法,体験認知法などを知らず知らずのうちにやっていることになっています.こういう意味で「言葉の訓練などをやらなくてもよい」のですが「やってもよい」ということもいえます.心の問題に関するものはこのように複雑です.これまでの経験では.この方法が言葉にこだわっているがゆえに,改善はしますが完治しない場合が多いようです.詳しいことは「出ない言葉を出す方法」を参考にしてください.

    「吃音克服」と「吃音を治す」は少しニュアンスが違います.吃音克服は吃音を言葉の問題と考えて,出ない言葉を訓練などで出すことを繰り返し,苦労しながら吃音を克服するニュアンスがあります.キッシーケア体験認知法に近い言葉バージョンと言えるかもしれません.言葉の問題として取り扱っていますので結果的には改善が中心になり,運よく心が治されない限り完治にいたることはありません. 一方,治すは幼児期に病んだ心を治すことで,言葉が出る出ないなど意識することのないごく普通の人になることです.当然ながらそのときは言葉は自然に出るようになっています.治す目標は言葉ではなく幼児期についた心なのです.






    9.なぜこんなので治るの?


    吃音の本質から見れば当然のこと


    言葉のことで苦しんでいるのに上の治し方はどうにも納得いかないことばかりです.どことなく違和感を感じる人も少なくないでしょう.この感覚が吃音治療を成功させない理由です.どうしても納得いかない人は,本サイトの「完治経験談」.「吃音ドットコム」のたくさんの先輩たちの体験談をお読みください.

    1. キャシーケア良育児環境法(GCEM)の一つとして,ようやく「環境調整」と呼ばれるものが出てきました.言葉の病気として取り扱っているところにまだまだ問題があるのですが.率直に言えば周囲の人間が子供の取り扱いを変えることです.内面の成長段階に沿った取り扱いをし,子供のやりたいという心を尊重し,生き生きさせることです.「認めて」,「ほめて」子供の快適な居場所を作ってやることです.これに,周囲の人が充実感を感じることが加わり,言葉の病気ということから離れれば本サイトに近づきます.

      日本の伝統的な教育法は,「まずいところや悪いところを見つけてそれを反省し改良して,理想に近づける」です.だから子育てにおいても,「それをやっちゃダメ」,「ダメダメ」,「こうしなさい,ああしなさい」,....が出てきます.お母さんに「子供をどれくらいほめた?」って聞けば,答えは「?????」となるでしょう.これも立派な教育方法ですが,どうしても楽しみが少なく自分が否定され嫌な気持ちが多くなるので,一番大事な「やる気」が育たず,自己肯定感のなさが育ってしまいます.

      また,今では「リッカムプログラム」と呼ばれているものもでてきています.これははオーストラリアで開発された小さなお子様用のもので,簡単に言えば「欠点に触れずにほめに徹する」ことです.これも言葉の病気として取り扱っている点に問題が残っていますが,周囲の人間が子供の取り扱いをほめるほうに変えることですので,キャシーケア良育児環境法(GCEM)に入る方法です.



      このように吃音対処法が,ここでいう本質にかなり近づきつつあると感じて,ほんの少しだけ,ホットしているところです.20数年まえから言い続けていることでやっと時代が追い付いてきてくれているとよろこんでいます.
      キャシーケア良育児環境法(GCEM)の体験談が,「吃音ドットコム」→「幼児の吃音Q&A,体験談」,これからの完治例をまとめた「吃音ドットコム」→「幼児吃音完治例」に読み切れないほどの例があります.これを読めばGCEMが非常に有効な吃音治療法であることがわかるはずです.

      「リッカムプログラム」は,吃音発症の原因からみて大人にも使えそうです.大人はほめてもらえないので自分でほめるほかないのですが.ほめられる状況を作り出す方法もありますし,ほめられるチャンスが来ることもあります.やりたいことやるなど,あの手この手で自分の心を楽しくすることです.だから治し方3.4.が出てきます.



    2. キッシーケア発症環境離脱法(OEWM)は,物理現象ですのでチャンスがきたらやりやすいし,これまでの例ではかなり効果的です.簡単に言えば親元から離れることです.地元から離れることも入るかもしれません.吃音発症環境上で生活していると有形無形のストレスがかかりつづけます.しかも親も子供もそれが幼児期から常態化して普通の状態になっているので,それを認識するのは非常に困難です.当然,親子とも気づけない,潜在的な幼児期からのマインドコントロールも入っていますから,そこから抜け出すのも困難な仕事です.だからかなり強力です.大人の「いつの間にか治っていた」という完治体験にはこのケアーが入っていることが多いようです.

      まさかこんなことが吃音を治すとは.またまた,言葉の病気だと思っていたころには考えもしなかったことが出てきましたが,これはかなり効果があります.

    3. キッシーケア良生活環境法(GLEM)は,発症時のような怖いことが起こりませんから「人前で話しても怖くない」が心にしみこんでいきます.良環境は自分のやりたいことをやっている,夢に向かって努力しているなどから生まれます.なかなか難しいことなのですが.当然別種の怖いこと(非吃音者が苦しむようなこと)は起こりますが,成長した段階ではそれほど吃音に大きな影響はなさそうです.



    4. キッシーケア役立法(BGM)は,自分の存在価値を実感できますし,「お母さんや大人に認められ,親が喜ぶ子供になりたい」といって無理したのが吃音の大きな原因の一つだから,これが効果的なのはよくわかります.

    5. キッシーケア体験認知法(ERM)は勇気のいる荒療法です.人と話さざるを得ない状況などで吃りながらも積極的に話をして積極的に活動をしていくことです.これによって「人がいるところに出ていく潜在的恐怖」,「人がいるところで話すことの恐怖」が薄れ,「人のいるところで話しても問題ないのだ」ということが心にしみこんでいくからです.この荒療法中にも「恐怖」は感じますが,幼児期に感じた「恐怖」とは別種のようです.この方法で治っている人も多いですが,泥沼の中でもがき苦しむ感があるので,勇気と心の体力が必要です.

      営業職,コールセンター,接客業...などこのケアーができる職種です.商売を始める,ベンチャーを起こすなどもこのケアーに入ります.人によってはある程度でやめざるを得なくなるかもしれません.でも失敗したとは考えないでください.「吃音を持っているのに勇気を出してよくやった」とほめてください.しかもこれによって大きな大きな経験と実際の知識が得られます.そしてそれが次の勇気につながります.

      一人での旅行や何かの調査旅行,徒歩日本横断,バックパッカーなどもこのケアーの一種です.この辺から入るのが抵抗が少ないかもしれません.一人でというのは結構勇気が必要です.まあ,最初は一人でなくてもよいのですが.


      「吃音ドットコム」→「克服経験・主張」,これを部分的にまとめた「吃音ドットコム」→「成人吃音完治例」にはこれによる完治例が多いようです.「吃音ドットコム」には上記リンクからいけます.

    6. キッシーケア原因特定法(CDM)は,めくらめっぽうに対策を立てるよりかなり確実,楽になります.ただ究極の親子関係や家族関係に踏み込むので,母子とも嫌悪感を感じ,そのため少し難しいところがあります.一方,子供の内面は急激に成長しますので,その後結果的に親の勘違いもなくなっており,親も愛情いっぱいに子供を育てていますので,「いまさら何を言っているの」といった反応があり,原因特定が難しくなる傾向があります.

    7. 吃音トラウマ自然消滅(ME)は次のような場合に起こります.吃音の発症のほとんどが幼児期であるので,その時の環境がトラウマの原因です.だから成長による変化や親兄弟関係が薄くなるなどで吃音トラウマが消滅します.「吃音は幼児期によくあること,成長するにしたがって治るよ」は,「魔の2歳が過ぎて育児が楽になった」,「保育園へ行くようになってお母さんの育児負担が減り,お母さんの子供に対する接し方が改善された」,「子供の世界が広がった」などで起こっています.また,親兄弟が遠くに引っ越したり,天寿を全うしたり死去したりして自然消滅することもあります.この場合は,わからないうちに言葉が出始めますので関係性がわからないことが多く,自然に治っていたといわれてしまいます.



      昔,「親のせいで吃音になった」といって親を責めている人もおりましたが,これは絶対やってはいけないことです.責めるようなことはありませんし,逆にこれをすると親子ともども不快になるので吃音を強化する方向,「いつまでも吃音でいたい努力」になってしまいます.遺伝や世代連鎖など吃音発症の奥深さを知るとこんな単純なことをしてはいけないことが理解できます.理解しないと,自分が今度は自分の子供に吃音を伝えてしまうこともあります.

    吃音を発症させたトラウマを「吃音発症時トラウマ」と呼び,吃音発症後に成長するトラウマを「吃音発症後トラウマ」と言っています. 「吃音発症後トラウマ」は意識に上りやすく生活上で経験するストレスと同様なものであるので,比較的取りのぞきやすい性質のものが多いのですが,「吃音発症トラウマ」は意識に上らず,そのうえ幼児期についたものですので大人になってからは取り除きにくい傾向にあります.

    言葉は幼児期に憶えますが,どのように憶えたのか記憶にありません.それを一生使っていきます.吃音もこのとうりです.どのように憶えたのかわかりませんが幼児期に吃音を憶え?,一生使っていく?.そっくりです.



    吃音が治った人は,その方法や手段の違いにもかかわらず,慎重に考察すると,すべての人がこの「トラウマ消失原理」によって治っています.

    治すためにやった発声練習などや治ったきっかけが吃音を治した原因だと思って,このことに気がつかないことも多いのですが.だから吃音完治者の「治し方」をまねても治らなかったのです.

    キャッシ―ケアーで大人の吃音が治った時,体験認知法(ERM)を除けば,「いつの間にか吃音が治っていた」,「自然に言葉が出るようになっていた」と感じるだけで,吃音を治す努力をしたがゆえに治ったとは思えないところが問題点です.
    これまでのように何が原因で吃音を発症したかをしらないと治すのは難しいし,治ったとしても「なぜ治ったのかわからない」とならざるを得ません.でも発症原因を知っておれば,なぜ治ったかは一目瞭然です.



    10.治すための生活態度


    自分をほめること,自分を肯定すること


    誰か他人にほめられると最高なのですが,なかなかそのチャンスはやってきません.だからチャンスがあったら自分をほめ自分を肯定することが大切です.吃音者には潜在的に能力のある人が多いですから,それに気が付くことも大切です.

    トラウマを取りのぞくためには,幼児も大人も,「やりたいことをおもいっきりやっている」,「夢に向かって挑戦している」,「生きがいを感じている」,「認めらている」,「自分の存在場所がある」,,,.....などによって,たとえ苦しくてもイキイキ前向きに生きること,もしくは生きられる環境を作ること,心の充実を感じることによって治っていきます.これこそ吃音を発症した幼児期にできなかったことなのですから.夢中になっていれば自然と「吃音のことを忘れている」状態が出現します.
    ざっくり言えば,トラウマを取りのぞくためには,楽しい充実した人生の時間を少しでも多くすることです.

    当然この過程で多くの人間に積極的に接するので,「人間はそんなに怖くない」と,幼少時についた間違った潜在心を修正することができます.「人前で言葉を出しても恐ろしいことは起こらない」ことは頭ではとっくにわかっていることなのですが,心の奥の潜在心にわかってもらうには大きな努力が必要です.たまに怖い人間もいますので,吃音発症後トラウマを増やすこともありますから注意も必要です.しかし幼児期の「恐怖」と大人になってからの「恐怖」は質違い,けた違いなので,この方法が効果を発するのです.



    吃音は周囲の人との関係で発症していますので,治し方もすべて周囲の人の中で吃りを抱えながらやらなければならないことに注意してください.潜在心的に怖い人間の中に出ていかなければならないのですが,これは生活するうえで必然的にやってくることです.「怖がって出ていかないことより吃音を治すために出ていく」という原理がわかれば,意味が大きく変わってきます.

    このことは一つ間違えれば「いつまでも吃音でいたい努力」になってしまう可能性があることにも注意してください.「吃った,俺はダメ人間だ」.「フルネームを聞かれて言えなかった,なんて劣った人間だろう」,「言い換えをした.また逃げた」.........などなど,ついつい自分を責め自分をいじめてしまいます.これが「吃音でいたい努力」です.
    治し方の基本は「自分をほめること」です.「自分を認めること」です.「吃った」,「吃音病をかかえながらよく頑張っている.俺はえらい」.「フルネームを聞かれて言えなかった,病気だから当然だろ」......自分をほめまくりましょう.前半は幼児期に起っていたこと,後半はそれを取り戻している姿です.「決して逃げている」とは考えないでください.「自分をほめ認めること」,これが「吃音を治す努力」なのです.吃音者の家庭はまじめで立派なことが多いので,「逃げてはダメ」的な雰囲気で育っている可能性が大ですから.



    11.2歳以降での発症ある?


    あるがその元は2歳前後が大幅に関係


    吃音の発症は殆どが2歳前後(第1反抗期)ですが,思春期(第2反抗期)などに吃音を発症する人もいます.ここでの発症は2歳前後(第1反抗期)とは関係ないように見えますが,吃音の原因を2歳前後で抱え込んでいて,それプラスアルファのストレスで思春期に発症したか,2歳前後で発症して治って思春期などに再発したかの可能性大です.ですから思春期などに吃音を発症したと思っている人は2歳の時どうだったかを調べてみる必要があります.そうでないと間違った吃音の原因探しをしてしまう可能性があります.どちらにしろ吃音は内面の成長で心に負荷がかかる第1,第2反抗期に色濃く関係します.

    2歳前後以降でも2歳前後の時と同じ理由(心資質と環境)で吃音発症をする人もいます.しかし,圧倒的に幼児期が多い傾向にあります.



    2歳前後での発症は「幼児健忘期」と呼ばれている時期なので,「吃音トラウマ」や「それを作った環境」,「吃音の発症」を覚えていることはありません(正確には,体の中には刻み込まれているのですがそれを思い出し意識できることはありません). 「幼児健忘期」は「その人そのものといってもよい心の成育期」ですので,吃音トラウマは潜在意識というよりは潜在心として巣くってしまっています.言い換えればその人そのもの,”その人の無意識の常識”となって,吃音に関することはもちろん,その後のその人の生き方,考え方の基本に大きな影響を与えていきます.

    意識できないのに大きな影響を受けている,だから深刻です.一方で,この成り立ちが吃音にその後のいろいろな不思議な性質や不可思議な解釈を誘導してしまいます.だから,この成り立ちをしっかりと理解しないとますます不可思議な吃音解釈を誘導し,間違った吃音治療をすることになってしまいます.言葉そのものを治そうとするなどは,説得力がありますがその典型です.その結果多くの吃音者が苦しみながら一生を終わっていくことになります.



    12.ベビー誕生とお母さん?


    脳の発達段階とリンクしている


    なぜ不適切環境が生まれやすいのか?
     人類は二足歩行を始めたため産道が小さくなり脳が未完成のまま生まれてきます.特に自分の欲望を制御する脳部分(前頭前野)が十分に発達せずに生まれてきます.一方で欲求や恐怖を感じる偏等体などの脳部位は完成して生まれてきています.だから生まれたての赤ちゃんはおなかがすけば朝であれ,夜であれ,お母さんが寝ているいないにもかかわらず,泣いてお乳を要求するように,前頭前野が発達するまで我慢するということはできません.我慢という概念がないのです.

    2歳になって歩いたり走ったりできるようになり,言葉を話すようになって意思疎通ができるようになっても,それなりに一人前の人間のように見えても,脳はまだ赤ちゃんのままなのです.だから,欲求がダイレクトに出ますが,まだ,「ワガママ」という概念はないのでそれは「ワガママ」ではありません.赤ちゃんのお乳を求めて泣くことをワガママと思わないように.

     一方で出産後お母さんの脳は,子育てに適するように脳内ホルモンが変化します.人類は何百万年のあい乱婚で共同保育してきたようで,そのために不安を感じ自信をなくすようにできています.また同時に,愛情深くなるとともに天敵からわが子を守るため攻撃的になりるようになっています.人類誕生から400万年の間に,子供を守り育てるために出来上がったシステムと考えられています.お母さんの不安とイライラの源泉がここにあります.



    13.魔の2歳児


    大切なハチャメチャ期


    そこに「魔の2歳児」のハチャメチャさ(あくまでも大人目線で見ての.)が襲います.それゆえ過干渉などの「優しい虐待」が始まり,またそれを超えた「目に見える虐待」になることも少なくありません. 「2歳」,これが吃音を考える上でのキーワードです

     それだけにこの時期の子育てはタフさが必要とされます.2歳になったばかりのほとんど何もできない幼児を「一人の別の人間」として認めて,大人目線ではワガママいっぱいに思える主張を子供目線、特に子供の成長段階目線で「純粋なやりたいこと」と理解し,今度は大人目線で現実に対処しなければなりません.お母さんのイライラも最高潮に達するときですので要注意です.「魔の2歳児」のハチャメチャさは,人間の心が成長する段階として非常に,非常に大切なことなのです.ハチャメチャでないといけないのです.

    ようやく体を自由に動かせるようになって,ようやく言葉が話せるようになって,これから心や言語能力を急激に成長させようとして活発に訓練を始める,それがハチャメチャなのです.

    ●おしゃべりできるようになったので,思い切りおしゃべりして言語能力の向上と内面的な成長(心の成長をさせたい
    ●肉体的に一応成長したので,思い切り歩いたり飛び跳ねたりして,肉体をより成長させたい
    ●親のいうことを聞いて,食べられるもの食べられないものを憶え,危険なこと安全なことを憶え,生きるための常識をつけたい

    とするのです.それを止めてしまうので心に傷をのこしてしまうのです.「ハチャメチャだ.うちの子は立派に育っている」と思えるくらいの余裕があればよいのですが,難しいですよね.



    14.しつけ


    子供の健全な成長を願う親の思い


     このときしつけが気になりますし,大人目線ではワガママいっぱいに見えますので,親がまじめや心配性的で,「このままワガママいっぱいの育ったら大変だ」,「良い子に育てよう」,「優秀な子に育てよう」,....などという思いが強くなると,どうしても年齢不相応な(子供の成長レベルを超えた)しつけをしがちになります.大人の常識,「..あるべきだ,...しなさい,..してはだめ」などは,必要なことではありますが,一方その人の人格を否定することでもあります.大人の常識を子供の成長段階と子供の性格を考慮にいれて見直す必要がありますが,これは超困難な事柄でもあります.しつけにはどうしても「叱り」が入ってきます.でもしつけは教えることです.教育です.教育には叱りや怒りはなじまないのです.理想を言えば「教えて注意してほめて育てる」なのです.「言うは易し行うは難し」ですが.



    親によってはイライラも手伝って,強力な怒りによってワガママを押し込め(恐怖を感じる脳部位は完成して生まれてきますのでこのように機能します),大人が考える良い子の型にはめようとすることも多いようです.大人目線では「素直な良い子になること」は良いことですので,それが子供の心を傷つけているとは思いもよりませんので深刻です.大人が考える「素直な良い子」には、一方で「自分を殺して、お母さんや大人が喜ぶように振る舞う子」という意味を持っていること意識する必要があります.人類進化の歴史的に言うと,(本人は意識していませんが)「良い子とは,命の危険を感じて自分を殺している状態」の側面も持っているのです.しかも吃音になる子は「率直な良い子になりやすい性格」を持って生まれてきているのです.

     「言葉を出して自分を主張すればお母さんお父さんが嫌がり,自分にも嫌なことが起こる」,ここに吃音発症のもとがあります.この幼児期の不快体験や恐怖体験(あくまでも幼児から見て)が吃音のもとです.その負体験を生じさせているのが周囲の人なのです.でも周囲の人はなかなかこのことに気がつけません.



    15.吃音化スパイラル


    吃音発症により苦しみが二つに増える


    吃音を発症すると,吃ることによる周囲の反応などで不快体験や恐怖体験が記憶され,それを思い出す予期不安から人前で話すことを避けるようになります.そうするとますます恐怖記憶が増強され,吃音トラウマが強化されていきます.人前に出ることに恐怖を感じ,そのような自分を責め,人前を避けたことで自分を責め,吃ったことで自分を責め,変に思われていないかと自分を責め...と吃音発症後トラウマが増えていき,吃音重症化スパイラルに入ってしまいます.

    そして一生ものの苦しみが始まります.しかも苦しみは吃るが故であると思い,その奥にある真の原因に気がつくことは皆無と言っていいほどありません.吃音の苦しみは,吃音を発する元の苦しみと,吃ったことからくる苦しみの二つからなります.






    16.出ない言葉の出し方!!


    言葉を出す方法と吃音治療は,基本的に,別物


    とはいっても現実社会には言葉は必須です.現実を乗り切るためにも出ない言葉を出す方法は必要です.「出ない言葉を出す方法」は,たくさんの吃音者が苦しみの中からあみだした知恵です.言葉を出す方法は「現実対処法」,「対症療法」と割り切り,根本的な吃音治療ではないことを自覚してどんどん利用してください.吃ることを回避できれば社会からのストレスを減らすことができますので,下に示す良い副作用が得られます.決して「言葉を出す努力」を吃音を治す努力とは思わないでください.そうすると「努力しても努力しても吃音は治らない」と悲観し,「いつまでも吃音でいたい努力」になってしまいます.

    ただしこの方法の多くは昔から「言葉から意識をそらす方法,注意転換法」として知られており,すぐダメになる性質を持っています(本サイト的にはキッシーちゃんをだます方法).「今から嫌なことが起こる言葉を出すのではないよ」,「恐ろしいことや危険なことが起こることをすのではないよ」とキッシーちゃんをだまします.ダメになったら別の方法をお試しください.よく使われる「言い換え」も最高の方法です.当然良い副作用が得られます.もしこのほかによい方法を発明されたらお知らせください.

    吃音を治すためには言葉の訓練などに大量のエネルギーを使わずに,トラウマ消滅にエネルギーを重点的に使うべきです.トラウマさえなくなれば自然と言葉は出るようになりますから.



    でない言葉を出す具体的方法


    1. 「えーと」,「あのー」,「どうも」などをつける
      えー、ありがとう
      えーありがとうは危険な言葉じゃないでしょ
    2. 音を延ばして発音する
      あーりがとう
      あーりーがーとう
      危険な言葉じゃないでしょ
    3. 第一音を小さく、または、ソフトに発声するか、発声しない.または苦手な音は心の中で言う
      りがとう
      ・りがとう  
      ありがとうという危険な言葉じゃないでしょ
    4. リズムやメロディをつけて発音する
      ♪あ・り・が・と・う♪
      言葉ではなく歌だよ
    5. 平がなやカタカナ,ローマ字で書いたメモを目で追いながら話す
      ありがとうというのではなく字をおっているのだよ


    6. 言葉をロ-マ字に頭の中で変換して話す
      今は言葉を変換しているだけで人に言っているのではないよ
    7. 心の中で何かをつぶやきそれにつれて発声する.
      心の中でつぶやいているだけ
    8. 発声時に手足を振る
      今はただ手を振っているだけ
    9. 電話が鳴ったら,キッシーチャンが気がつくまえに出る
    10. 上手くいえるかどうかよりも、「ありがとう」という気持ちを表現するようにする.
      ありがとうなんて言わないよ.気持ちを表しているだけ
    11. 態度で表す.
      おじきをしながら「ありがとう」という.態度でわかるので極端なことを言うと言う言葉は何でも良い.
    12. 呼気や吸気にのせて発声する,少しだけ息を吸ってしゃべりだす
      今は呼吸をしているだけ


    13. よく似た言葉で言いかえる.例:あかやま(中山)、 あかむら(中村)
      危険単語の「なかやま」と言ってないよ
    14. 口の奥からの空気が舌の上を流れるイメージ。 このイメージを持って話す.
      空気を舌の上流そうとしているだけ.言葉を出すのではないよ
    15. 声色を意図的に変える.俳優のように他人に成りすます.
      私がしゃべっているのではないよ,だから心配いらないよ
    16. 言葉のことは考えずに今やっている仕事に集中する.
      言葉をだそうとはしてないよ
    17. 相手の声に耳を傾け,相手の話しを理解することに集中する
      言葉をだそうとはしてないよ
    18. 相手の話を聞いて理解してそして自分の意見を言って相手にわかってもらうということに集中する
      今話を聞いているだけさ.話そうなんてしてないよ.議論はするけど
    19. 自分の名前を自分の名前と思わずに、(自分がリラックスできる)他人の名前だと思い、その人に呼びかけるような感じで声を出してみる(はこべさんの方法)
      他人の名前だから大丈夫
    20. わざと最初の語を小さな声でどもる
      言葉をとめなくてよいよ.自分で止めるから
    21. 力を抜いてやわらかく話す
      優しく言っているから大丈夫だよ.言葉をとめなくてよいよ.
    22. タッピング(指でトントンする)しながら話す
      今タッピング中さ.言葉をとめなくてよいよ.





    次の方法は自分の常識を覆すことにより発声の可能性を増やす方法です.
    1. 「話すことが苦手だから早く済ませたい」と思わない
    2. 「完璧に話さなくてもいいんだ」と思う
    3. 「どもってもかまわない」とおもう
    4. 吃らないで話そうとするから吃るので,最初から「吃って話そう」と思って話す.
    5. 自ら楽などもり方で話す
    6. 受話器に手をかけて、目をつむり深呼吸してから取り上げ,ゆっくり会社名を言う.
    7. 相手の立場で考え話す
    8. 相手を見ないで言う
    9. 力を抜いて話す
    10. 「吃ってもかまわないと思う」は勇気がいりますけど,吃らないでおこうとするより結果的に吃りが減ります.




    17.良い副作用効果


    言葉の訓練などには良い副作用がある


    言語能力の発達が早く,幼児期に機関銃のようにしゃべっていた吃音者の言葉のつまりを治すためには,言葉の訓練などしなくてもよい(幼児はせずに治っている)のですが,全く無意味というわけではありません.ここには言葉に関係ない上記「治し方,キッシーケアー」を実現する要素が,良い副作用として入ることがあるからです.キッシーケアの良い副作用法(GSE:Good Side Efect)が自動的に入ってくるのです.これがこれまで言葉の訓練などによるたくさんの吃音克服法が開発された理由です.

    発声練習や腹式呼吸などは,いかにも吃音を治す努力をしているように感じますので,前向きの心になれますし,心がある意味吃音から開放されます.この前向きの心と心の開放,希望が良い副作用です.

    言葉の教室などで他の吃音者と出会えば「吃音で苦しんでいるのは自分だけではない」と心が楽になります.また教室などでは多くの人と接するので人になれるという良い副作用があります.吃音のもとには潜在的な「人が怖い」がありますから,人と接することにより,人がそれほど怖くないことがわかり,それが少しづつ心にしみこんでいき,吃音トラウマが薄くなっていきます(良い副作用).吃音の話を聞いてもらえるだけでも孤独心が減り大きく心が癒されます(良い副作用).

    吃音緊急対処法により吃ることが減ると,周囲からの嫌な反応が減りますので,結果的に心のダメージを少なくするという良い副作用を持っています.この方法から上記治し方に旨く入れれば吃音は治りますが,そういうことは少なく軽くなるのが精いっぱいです.軽くなるだけでも大進歩なのですが.



    バイデン米大統領の「鏡の自分に向かって話す」は,自分の前には他人(鏡に映る自分ですが)がいますので,合理的な良い副作用が入っています.吃音治療にジョギングや山登りでもよいのです.ちょっとした苦しみや,達成感やスポーツハイがありますから良い副作用があることは確かです.でもこれが吃音を治すための努力と思い難いのが難点です.

    吃音で出ない言葉を無理に出そうとして,発声器官や呼吸に癖がついている場合は,言葉の訓練や呼吸法は有効です.ただし,原則,これは出ない言葉を出やすくする方法ではなく,出る言葉を正しく発声するように訓練することですから,良い副作用を除けば吃音治療には直接関係しません.この場合の良い副作用はいい声ではっきり発音できるなどで,快感を覚えたり気持ちが楽になったり精神的に楽になったりすることです.

    「詩吟を習って治った,コーラスクラブに入って治った,または軽くなった」と言う人もいます.これらは声を出すことなので詩吟そのもの,コーラスそのもので治ったと思いがちです.しかし,これらには(良い副作用)がいっぱいあります.多くの人との出会いがあります.友達ができます.詩吟や歌は吃りませんから,非吃音者として吃音を気にせずコミュニケーションが取れます.声を出すことにより自律神経のバランスがとれ精神を安定させます.発表会などあると,ドキドキしながらもたくさんの人の前で大きな声を出せますし,拍手ももらえます.なによりも吃音が治せるのではないかという期待があります.優良副作用満載です.

    こういう良い副作用の効果を考えると,これも吃音の治し方としての意味を持っています.それが前述のキッシーケア<良い副作用法>です.

    その他「吃音ドットコム」→「克服経験・主張」にも,たくさんヒントになる経験談があります.参考にしてください.大量ですのでそのつもりで.






    18.吃音治療の難しさ1


    幼児期についた意識できない「潜在こころ」だから


    幼児期についた意識できない潜在意識ならぬ「潜在心(せんざいごころ)」として存在する吃音発症時トラウマを取り除くのに,非常にタフな心の努力が必要なことです.このタフな心をどのようにして確立するか?それが大きな問題です.吃音発症時トラウマは肉親など身近な人や環境に関係していることが多いので,身近な人からの距離ができたり,身近な人の死亡や別れなどによって消えてしまうこともあります.だから適当な時期に家庭などの育児環境があった場所から離れるのも効果があります.昔苦しんだ育児環境(記憶にない)から離れてイキイキすると最高でしょう.だから上記「治し方」の2.がでてくるのです.
    こういうことから吃音を治すために,吃音発症時トラウマが何であるかを知ることは吃音を治すうえで大きなヒントになります.これが上記「治し方」の6.です.



    19.吃音治療の難しさ2


    「良い親」,「良い子」の間で発症するから


    乳幼児期はいろいろあっても基本的に親は子供をりっぱな「良い子」に育てようとします.子供は,親が正しいはずなので親が喜び安心するように「良い子」になろうとします.「良い子」になろう,「良い子」になろうと努力してもその年齢の内面の成長段階ではハードルが高すぎるのです.「良い子」にはなれないので親は喜んでくれないのです.良い子になったら後で大きな問題を起こします.「2歳の幼児に今度のオリンピックで金メダル取りなさい」と言っているようなものです.ここまで極端だと無理がわかりますし,体の成長段階はわかりやすいのですぐ無理な要求であることがわかります.ところが内面の成長段階はわかりにくいので,子供のためとおもうその心が,子供の成長段階を超えた過剰な要求をしてしまいます.ここに「発達を阻害するような不適切な養育」,「優しい虐待」のマルトリートメント(Maltreatment)になる原因があります.



    お互いに相手のことを考えながら愛情いっぱいの状態で吃音が発症します.だから吃音の発症に親が関係していると言うと,「”正しい親”のことを悪く言い,”良い子”になろうとしている自分のことを良くないと言っている」と,親子ともども不快を感じてしまいます.そのせいか,ここに科学的な光を与えることさえはばかれる状態が続いていました.逆に「お母さんが原因ではない」と声高に唱える人もいます.だから吃音の原因がわからなかったし,言葉の問題として出るので不思議な治し方がいっぱい発明されてしまったのです.当然治ることもありませんでした.その結果吃音者が苦しんでいたのです.まじめな愛情深い「良い親」,「良い子」が陥る落とし穴があったのです.子供が吃音で苦しむように周りが努力しているようにも見えてしまいます.

    親が関係していることがわかると親は,「私が原因?」と悩みます.思い当たる節が無きにしも非ずだからです.でも思い当たるようなことは子育てではごく普通にあることで,どの親でも経験しており特に取り立てて言うほどのことではありません.どの親も指摘されれば「そういえば」となるはずです.吃音の子供を持つような親は標準的な親よりより良い子育てをしているはずです.それでも「私が原因?」,「私は子育ても完全にできないダメ人間?」と悩んでしまいます.まじめでレベルが高くて優しい人が多いからです.

    吃音の原因を追究していくと世代連鎖に突き当たります.子供にお母さんがいるようにお母さんにもお母さんがいます.そのお母さんにもお母さんがいます.吃音になりやすい性格や考え方はDNAや幼児期の刷り込みによって出来上がります.「私が原因?」と言うようなことは世代によって受け継がれてきているのです.単なる親と子の関係ではなく人類の問題なのです.



    吃音を発症するような幼児は言葉が早くて機関銃のように言葉を話し出す人が多いようです.しかも賢くしっかりしているように見えます.これが吃音発症に関係します.親が子供の内面が十分成長していると勘違いして養育を始めるからです.大人扱いしてしまうのです.本当はまだほぼ赤ちゃんなのに.ここにマルトリートメントが起こる原因の一つがあります.他の子供より言葉をペラペラしゃべれる子供が後で言葉で苦しむなんて,皮肉です.

    でも子供が吃音を発症したら反省していてはだめなのです.ベッカムプログラムでもわかるように,反省ではなくまず最初に親が自分自身をほめることです.子供ではなく自分ですよ.問題はあるけど「よくやっている」と.自分が喜ぶことです.反省や自己否定的な考え方が吃音を発症しやすい人の特徴です.反省なんぞほおり投げ明るくなって子供の吃音が治る方向に舵をきることです.親が子供と一緒にいて充実感を感じるように親を治さないと,子供の吃音は治りません.だから反省なぞしている時ではないのです.子供の吃音の原因,治し方,治りやすいこと,を明らかにしたのですから.この状況で自分のことなど考えて時ではありません.ものすごく片寄った辛口の表現をすると,「子供が苦しんでいるのにまだ自分のことばかり考えているの」とも言えます.自分に使っているエネルギーを子供の吃音完治に使ってください.子供が安心して過ごせる精神環境を作ってあげることです.



    20.吃音治療の難しさ3


    マルトリートメントは愛情いっぱい


    参考までに幼児虐待についてわかっていることをあげておきます.
    ”幼児期虐待を受けた人間は,「虐待した人が正しくて自分が悪いと思い,自分が正しいことをするようになれば虐待がやむ」と考えるようになります.でもいくら頑張っても正しいことをする人間にはなれません.この成長段階では無理難題だからです.そして不思議なことに虐待した人をあがめるようにもなります.だから親を悪く言う人なんぞ許せるはずがありません.このような人が大人になると,正しいと信じていることを自分の子供にするようになります.すなわち,虐待が始まるのです.場合によっては,尊敬する親よりより完璧な正しい親になろうとして,自分の子供をより正しい方向に導こうとします.すなわちより激しく虐待するようになるのです.「強化した虐待」の世代連鎖が始まるのです.”

    愛情いっぱいだからマルトリートメントになる.マルトリートメントは「子供のために一生懸命」,「親のために一生懸命」の関係だからわかりにくいのが特徴です.マルトリートメントの結果は幼児虐待の結果と似ていると思いませんか?実は毒親,アダルトチルドレンとも通底しているのではないかと思われることもかなりあります. 「親も子供も正しい,その親を悪く言うなんてとんでもない」と言うこの性質が,吃音研究で親子関係に踏み込むことをタブー視する背景を作ってしまっています.

    そうだとすると「吃音が世代を超えて伝えられていく」可能性があることです.だから吃音は遺伝だという人も出てくるのですが,遺伝ではありません.しかも幼児虐待だと親も少しは意識できるのですが,マルトリートメントは意識できません.だから深刻なのです.

    当然ですが幼児期虐待で吃音になった人も結構見受けられますが,この場合は因果関係がよくわかります.特に父親が関係している場合にはわかりやすいです.



    21.吃音治療の難しさ4


    言葉の苦しみ以前に心の苦しみがある


    吃音は「言葉が出にくい」という症状としてあらわれます.本人も社会で生きていくのに大きな苦しみとなります.だから,自分なりに言葉が出るようないろいろな工夫をしたり,言葉の教室などで発声練習や腹式呼吸などの言葉の訓練を行います.吃音で苦しいのだから当然です.言葉を出すのに膨大なエネルギーを使ってしまいます.でも,治ることはありません.エネルギーを使う場所が違っているからです.

    言葉が出ないことで苦しんでいるの確かなのですが,実は,潜在的な苦しみが先にあって,それによって吃音がでてその結果に苦しんでいるのです.言葉が出ないゆえ苦しいと思っていますが実際は潜在的苦しみが先なのです.潜在的な苦しみと吃音結果の苦しみ,この二つが吃音者を苦しめているのです.

    吃音者が感じている苦しみ=言葉が出ない苦しみ+吃音を発症させた苦しみ

    言葉が出ない苦しみ:吃ったことによる恥ずかしさ,無力感,劣等感などからくる苦しみ
    吃音を発症させた苦しみ:「人がいるところで話すこと,人に話しかけること」で起こる恐怖の感覚からくる苦しみ

    周囲の人は言葉由来の苦しみをもしかしたら少しは理解できるかもしれませんが,潜在的苦しみはなかなか理解できません.本人でさえ苦しみの半分しか意識できない場合が多いのですから.言葉や吃音由来の苦しみを取れば吃音は治ると思っていますが,吃音病を発症した原因である潜在的苦しみを取らないかぎり吃音は治らないのです.おそらくこの苦しみの方が大きいはずですが,気が付くのは至難の業です.



    でもその本質は心が傷ついていることです.心から血が流れ続けているのですが,その始まりが幼いときなのでそれが常態となってしまって気がつけません.しかも心の傷が言葉の問題としてあらわれるとはいうことは納得しがたいことです.だから直接的な言葉の治療に力を使ってしまいます.

    あと一歩深入りして考えると,苦しみにはそれを感じる心があります.吃音者はもともと怖がりで恥ずかしがり屋です.そしてこれが吃音を発症させています.発症すると吃ることによりますます怖がりや恥ずかしがり屋が強調されてしまいます.だから上記の苦しみには「怖がりや恥ずかしがり」がもとにあるのです.

    風邪をひいてウイルスが体に入り,体の免疫細胞が戦ってウイルスと殺すために体温を上げ,ウイルスを外に出すために咳をしているのに,熱で苦しいから熱を下げ,周囲の人に失礼だから咳をこらえているようなものです.ウイルスが死ねば熱は下がります.でも熱を下げてもウイルスは死なないばかりかますます元気になるのです.咳をこらえればウイルスを外に出せませんので風邪は治りません.「吃ったら失敗だ」と思っている人は,風邪をひいて咳が出たら失敗だと思っているのと同じです.咳でウイルスを外に出しているので成功なのに.

    だから吃音を発症したら言葉から離れて,心の傷を治す方向にかじを切らなければならないのですが,現実的必要性にかられて言葉を出す方にエネルギーを使って,それを吃音を治すための努力と思ってしまうのです.吃ったら「吃音ウイルスが出て行った」,ラッキーと思えるようになれば,ストレスも減るし気持ちも楽になるので,吃音完治に大きく舵を切ったことになるのです.難しいことですが.



    22.吃音治療の難しさ5


    吃音なのにイキイキしなければならないことです


    社会活動には言葉が必須です.言葉がでないから落ち込み苦しむことが多いのに,吃音を治すためには社会の中でイキイキしなければならないことです.「人前に出て話すのが怖い(潜在的に)」のに人前に出て積極的に話さなくてならないことです.吃音者は吃音だけで苦しんでいると思っていますが,その前にこの人前話恐怖があるのです.意識できないけど潜在的な怖がりです.

    だからどこかで割り切って,何かを悟って,恥ずかしさを覚悟のうえで,吃ることを覚悟のうえで行動を起こすことが必要です.人前はそんなに怖くないということを潜在心が知るように.

    人生にはいろいろなチャンスがやってきます.すごく良い人に出会えた,良い環境に置かれた,尊敬されるようになった,いつの間にか指導的立場になっていた,.....です.イキイキのチャンスです.

    電話当番や顧客対応,...など話さなくてはならなくなったときも,チャンスです.無理に飛び込まなくても勇気のいる荒療法.「キッシーケア体験認知法」のチャンスが向こうからやってきます.怖いですけど.泥沼をはい回るような状態になりますが,はい回っているうちに「人はそれほど怖くない」ことが潜在心に浸み込みます.
    大人がこれで治った体験談が「吃音ドットコム」にあります.これは方法と結果の関係がわかりやすいです.
    だから無理しないでチャンスを待つのも賢い方法かもしれません.こういう鈍感力も必要です.






    23.「毒になる親」と通底


    子供の内面成長に悪影響を及ぼす子育てを行う親


    「毒になる親」

    「毒になる親」はアメリカのスーザン・フォワードの著書内のtoxic parentsの和約で1999年に日本に導入されました.「子供の内面成長や人格形成に悪影響を及ぼす子育てを行う親」のことですが,「毒親」とも呼ばれることも多く厳しい語に翻訳されたものです.「毒になる親」関連の記事を読んでいると本サイトの内容に通底するものがたくさんあります.

    本サイトでは「毒になる親」の概念が導入される以前から,吃音の発症,完治などを慎重に考察することにより,「吃音とは持って生まれた心の資質に関係して,主に,幼児期の不適切な子育環境で言葉の症状として出現する心の病気」といってきましたのでかなり相似点があります.必ずしもこれをそのまま適応できませんが,吃音を多面的にとらえると参考になることも多いので,「毒になる親」に関して簡単にまとめておきます.このことを考えるうえで,「毒になる親」の親には「毒になる親」がいる場合が多い,「毒になる親の親の親」にも「毒になる親」がいる場合が多い,.....と言う関係を理解しておくことも重要です.

    1. 「毒になる親」とは
      • 自分の常識や価値観が正しいと思い込み,子供を格下とみて管理,支配し自分の思いどうりに子供を育てたいと思う
      • 子供に自分の価値観を押し付け,過保護,過干渉し,子どもをひとりの人間としてみることができない
      • 「ああしなさい!」「こうしなさい!」,「...はダメ」など言うことが多い
      親のようです.

    2. 「毒になる親」の潜在的意識は
      • 自分ができなかったことやかなえられなかったことを子供で再構築しようとする
      • 周りの人に「認めてほしい」とか「いいひとと思われたい」と世間体を気にしている
      • 毒親の親も毒親のことが多い.潜在意識に影響が入っているので子供にも受け継がれていく可能性が高い.すなわち世代連鎖する可能性が高い
      のようです.



    3. 「毒になる親」に育てられた子供の特徴は
      • 幼い頃から,親は正しい,親が悲しむのは自分が悪い,親の望み通りにすることが親孝行であるといったような価値観を植えつけられている
      • 自己肯定感がなく自己否定的で自信がなく,誰かに依存したい傾向がある
      • 一方で正しい親に育てられたので「自分が正しい」という正義感がある
      • 自分から積極的に行動を起こせないが,後で「あーすればよかった。こう言えばよかった」と悔やむ
      • いい子を演じ他人の批判を怖れる
      • 言いたいことが言えなくて人に譲ってばかりで、我慢することが多い
      • 他人との適切な距離がとれない
      ようです.

    4. 暴言とは以下のようなものです.
      • 生まなければよかった!,あなたのためを想って!
      • 情けない!,意気地なし!,頭が悪い!,グズ!,暗い!
      • 可愛くない!,太り過ぎ!,弱音を吐くな!,かわいそう!
      • まだ結婚しないの!,いい歳なんだから




    5. 「毒になる親」対処法
      親の支配からぬけることが基本ですが,幼いころからマインドコントロールされているのでなかなか困難なことです.
      • 親から逃げる固い意思、決意をもつ
      • できるだけ親と物理的にも精神的にも距離を取る
      • 実家に帰る頻度を減らす
      • 経済的に自立していく
      • 親以外の人との関係性を作っていく
      • カウンセラーに助けを求める


    「毒になる親」はかなり悪いイメージで使われていますが,吃音の場合は子供を愛し大切にする親です.そういう親でも内容が底の方でつながっている可能性が高い感があるということは,これらは人類が持っている本質的なものの一面かもしれません.

    吃音の場合は,核家族化しお母さん一人で育児を担当せざるをえなくなり,その育児の厳しさからして一時的に毒親と通底する面が出ざるを得なくなるのかもしれません.ただ,このとき誰かのちょっとしたサジェッションや助けがあり,ちょっとした気づきがあれば,ほとんどの場合は避けられる性質のもののような気がします.「吃音ドットコム」の「虐待,毒親」にはもう少しだけ詳しい説明があります.




    24.通底Adult Children


    どこか似ている感じがあるので参考になる


    もともとは,親がアル中である子供に「対人問題や生きづらさ」を感じている人が多いことから始まっています(アメリカ,1970代).子どものころの家庭内心的外傷によって、生きることに支障がでていると思われる人たちのことをこう呼んでいるようです.これも本サイトの内容に通底するものがたくさんあるようです.

    1. 生き方
      • 親の期待に添おうとする
      • よい子でいようとする
      • 誰かのための
      • 生まじめで忠実すぎる

    2. 問題点
      • 居場所のない孤独感
      • 相手の評価に過敏で肯定を求める
      • 自分に自信がもてない
      • 自分の存在価値を確認できない
      • よい子を続けられない罪悪感
      • 自分自身の感情を感じられない
      • 自分に対する大きな批判
      • 責任感強いし,弱い
      • 楽しめない




    24.「児童虐待」と通底?


    極端だからわかりやすい


    先に出てきた「児童虐待」も再掲しておきます

    ”幼児期虐待を受けた人間は,「虐待した人が正しくて自分が悪いと思い,自分が正しいことをするようになれば虐待がやむ」と考えるようになります.でもいくら頑張っても正しいことをする人間にはなれません.この成長段階では無理難題だからです.そして不思議なことに虐待した人をあがめるようにもなります.だから親を悪く言う人なんぞ許せるはずがありません.このような人が大人になると,正しいと信じていることを自分の子供にするようになります.すなわち,虐待が始まるのです.場合によっては,尊敬する親よりより完璧な正しい親になろうとして,自分の子供をより正しい方向に導こうとします.すなわちより激しく虐待するようになるのです.「強化した虐待」の世代連鎖が始まるのです.”


    毒親もアダルトチルドレンも毒親も吃音と原因は良く似ていますよねー.困った困った. 子供時代の心得の影響は,幼さなければ幼いほど大きいようです.これも吃音を次世代に持ち越さないための大きなヒントになると思います.当然自分の吃音を治すヒントにもなりますが.




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